「まんじゅうの天ぷら」。
時々、ふと思い出したように食べたくなります。
まんじゅうの天ぷらは、東京・浅草にもあるそうなのですが、やはりここが元祖です。
福島県会津若松市にある峠の茶屋、「清水屋」です。
地名になっている、「強清水」は有名です。「こわしみず」と読みます。
会津地方の方言で、「かたい・つよい」ことを、「こわい」と言います。
なので、ご飯がかたいことを、「ご飯がこわい」と言います。「こわいご飯」、「このご飯こわいねえ」となります。
まんじゅうの天ぷらは、普通のおまんじゅうを天ぷらにしたものですが、これにお醤油をつけたり、お蕎の汁につけて食べるのが、ここ清水屋での食べ方です。
と言うのも、昔は、ご飯のおかずとして、まんじゅうの天ぷらを普通に食べていたそうです。
ここで、問題です。
写真の中にある、キッチンばさみは、何を切るためにあると思いますか?
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答えは、もう一つの名物、「いかの天ぷら」と「ニシンの天ぷら」を食べる時に使います。
天ぷらを食べる時に、はさみを使う?
そうです、この地域では、特別なことではありません。
昔、冷蔵庫などない時代のことです。ニシンも塩漬けにして保存をしていたのですが、ニシンにしても、いかの天ぷらにしても、実は固くて噛み切ることができません。そこでキッチンばさみの登場です。
その昔の名残りで、今や柔らかくなっているのですが、ハサミで切って食べるのが習慣となっているのです。
まんじゅうの天ぷらは、とびきり美味しい食物ではありませんが、無性に、食べたくなる時があります。
今回は、会津若松のお客様のオーニングの張替えの現調でお伺いしたのですが、同じ福島でも、会津若松は、自然に溢れていて、いつ来ても気持ちのいい場所ですね。
磐梯山です。
猪苗代胡です。
お堀と石垣の上に、木々の間から鶴ヶ城が見えました。会津のシンボルです。
今日のタイトルは大好きな、池波正太郎の著書から借用しました。